研究実績の概要 |
横浜市立大学附属病院に通院および入院した精神疾患患者に対して、抗甲状腺抗体を測定し、同時にWAIS-Ⅲなどを用いて認知機能、高次脳機能を詳細に評価し、頭部MRI検査などの構造画像検査や、脳血流SPECTなどの脳機能画像検査を施行して大脳を全般的に評価している。これにより、抗甲状腺抗体陽性例と抗甲状腺抗体陰性例において、脳機能や脳画像所見に違いがあるのかを検証中である。また、血液中および髄液中の抗NMDA受容体抗体を測定し、抗NMDA受容体抗体と脳機能との関連性についても調査中である。
また、2011年から2017年にかけて横浜市立大学附属病院に通院および入院した精神疾患患者の中で、脳機能画像検査を施行した約700症例の臨床データを採集し、抗甲状腺抗体、抗NMDA受容体抗体と脳機能画像との関連性を調査中である。
さらに、自己免疫疾患を持つ精神疾患患者と脳機能画像との関連性を調べる中で、全身性エリテマトーデス患者において脳PET画像検査を施行したところ、同患者のうち大うつ病を持つものと持たないものにおいて、左右の内側前頭回の糖代謝低下に有意な差が見られることを発見し、これを国際科学雑誌上で発表した(Saito T, Tamura M, Chiba Y, et al. Regional cerebral glucose metabolism in systemic lupus erythematosus patients with major depressive disorder. Journal of the Neurological Sciences. Vol.379, 127-130, 2017)。また、日本生物学的精神医学会で同内容をポスター発表した。
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