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2017 年度 実施状況報告書

精神疾患類似の橋本脳症における抗神経抗体の病原性と脳機能障害の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K16391
研究機関横浜市立大学

研究代表者

斎藤 知之  横浜市立大学, 医学研究科, 共同研究員 (30648407)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード自己免疫疾患 / 抗甲状腺抗体 / 自己免疫性甲状腺炎 / 橋本病 / 抗神経抗体 / 抗NMDA受容体抗体
研究実績の概要

横浜市立大学附属病院に通院および入院した精神疾患患者に対して、抗甲状腺抗体を測定し、同時にWAIS-Ⅲなどを用いて認知機能、高次脳機能を詳細に評価し、頭部MRI検査などの構造画像検査や、脳血流SPECTなどの脳機能画像検査を施行して大脳を全般的に評価している。これにより、抗甲状腺抗体陽性例と抗甲状腺抗体陰性例において、脳機能や脳画像所見に違いがあるのかを検証中である。また、血液中および髄液中の抗NMDA受容体抗体を測定し、抗NMDA受容体抗体と脳機能との関連性についても調査中である。

また、2011年から2017年にかけて横浜市立大学附属病院に通院および入院した精神疾患患者の中で、脳機能画像検査を施行した約700症例の臨床データを採集し、抗甲状腺抗体、抗NMDA受容体抗体と脳機能画像との関連性を調査中である。

さらに、自己免疫疾患を持つ精神疾患患者と脳機能画像との関連性を調べる中で、全身性エリテマトーデス患者において脳PET画像検査を施行したところ、同患者のうち大うつ病を持つものと持たないものにおいて、左右の内側前頭回の糖代謝低下に有意な差が見られることを発見し、これを国際科学雑誌上で発表した(Saito T, Tamura M, Chiba Y, et al. Regional cerebral glucose metabolism in systemic lupus erythematosus patients with major depressive disorder. Journal of the Neurological Sciences. Vol.379, 127-130, 2017)。また、日本生物学的精神医学会で同内容をポスター発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既に、2011年から2017年までの期間で脳血流SPECTを施行した症例、抗甲状腺抗体を測定した症例、抗NMDA受容体抗体を測定した症例の臨床データを集めており、多角的に考察しながらデータを統計学的に解析を行っている。また、現在も横浜市立大学附属病院に通院および入院した症例において臨床データを集めており、このペースであれば統計解析に十分な症例数が集まる予定である。

また、日本生物学的精神医学会および日本総合病院精神医学会に参加し、本研究に関連した最新の知見を得ている。

今後の研究の推進方策

引き続き、横浜市立大学附属病院に通院および入院した精神疾患患者に対して、文書及び口頭で同意を得た上で臨床データを集め、これらを統計学的に解析していく予定である。これにより、橋本脳症を始めとした自己免疫疾患と精神疾患との関連性や病態機序を解明していく。

次年度使用額が生じた理由

現時点では、一般的な保険診療の範囲内で施行した臨床検査の結果を集めて解析している。これら検査の費用は患者負担であるため、当初の予定よりも検査費用が少なかったために差額が生じた。生じた差額分は、次年度に保険診療外の検査施行時に使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Regional cerebral glucose metabolism in systemic lupus erythematosus patients with major depressive disorder2017

    • 著者名/発表者名
      Saito T, Tamura M, Chiba Y, Katsuse O, Suda A, Kamada A, Ikura T, Abe K, Ogawa M, Minegishi K, Yoshimi R, Kirino Y, Ihata A, Hirayasu Y
    • 雑誌名

      Journal of the Neurological Sciences

      巻: 379 ページ: 127-130

    • DOI

      10.1016/j.jns.2017.05.059

    • 査読あり
  • [学会発表] うつ病を伴う全身性エリテマトーデス患者の局所脳糖代謝2017

    • 著者名/発表者名
      7.斎藤 知之, 田村 真麻, 千葉 悠平, 勝瀬 大海, 須田 顕, 鎌田 鮎子, 伊倉 崇浩, 服部 早紀, 阿部 紀絵, 尾川 松義, 峯岸 薫, 吉見 竜介, 井畑 淳, 平安 良雄
    • 学会等名
      第39回日本生物学的精神医学会・第47回日本神経精神薬理学会合同年会

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公開日: 2018-12-17  

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