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2018 年度 実施状況報告書

精神疾患類似の橋本脳症における抗神経抗体の病原性と脳機能障害の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K16391
研究機関横浜市立大学

研究代表者

斎藤 知之  横浜市立大学, 医学研究科, 共同研究員 (30648407)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード橋本脳症 / 精神疾患 / 抗NMDA受容体抗体 / 抗甲状腺抗体
研究実績の概要

橋本脳症とは自己免疫性甲状腺炎に伴う自己免疫性脳炎であり、精神症状主体もしくは精神症状単独の病型が存在することが分かっている。精神症状主体の橋本脳症は、一般的な精神疾患と類似するが、この病態は未だ不明であり、診断も困難である。我々は精神症状を主体とする橋本脳症について研究するために、抗甲状腺抗体陽性の精神疾患患者(Psychiatric patients with anti-thyroid antibodies: PPATs)をモデルとして研究を行ってきた。本研究では、PPATsにおける抗神経抗体と脳機能の関りを調べている。抗神経抗体としては、精神疾患との関りが注目されている抗NMDA受容体抗体について測定し、脳機能は脳血流SPECT検査を用いて評価している。

これまでに、横浜市立大学附属病院に入院した精神疾患患者の中で、PPATs18例、抗甲状腺抗体を有さない精神疾患患者(non-PPATs)9例に対し、脳血流SPECT検査を施行し、また血清および髄液の抗NMDA受容体抗体を測定し、両群を比較検討した。この結果、脳血流SPECT検査では両群に有意差は認めなかったが、抗NMDA受容体抗体では、髄液中の同抗体が、PPATs群ではnon-PPATs群と比べ、有意に高値であった。その他、頭部MRI、髄液検査の一般項目などにおいて有意差を認めなかった。

この結果は、2019年の世界精神医学会にて発表する予定であり、また国際医学雑誌での発表も検討している。今後は、さらに症例数を増やして研究を続け、また健常者群との比較も行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、血清および髄液中の抗NMDA受容体抗体を測定し、抗甲状腺抗体を有する精神疾患患者群では、抗甲状腺抗体を有さない精神疾患患者群と比べ、髄液中の抗NMDA受容体抗体が有意に高値を示すという結果が出ている。これは、抗甲状腺抗体と抗NMDA受容体抗体を示唆する結果であり、学術的価値が高いものと考えている。ただし、まだ研究論文として未発表であることが至らない点である。これについては、近日中に論文投稿する予定である。

一方、脳血流SPECT検査を用いて脳機能を評価したが、これに関しては有意な所見は得られていない。まだ症例数が少ないためとも考えられるが、今後、他の神経画像検査に変更する必要性についても検討していく。

今後の研究の推進方策

まずは、これまでに得られた研究結果を、国際学会および国際医学雑誌にて発表する。また、さらに症例数を増やして研究を続け、同時に健常者における抗NMDA受容体抗体も測定し、対照群として用いる予定である。脳血流SPECT検査については、症例数を増やした上で統計学的に検証し、同検査が本研究の対象において有用な検査なのか否かを検討していくと同時に、他の神経画像検査への変更も検討していく。

次年度使用額が生じた理由

研究の症例数が予定よりも集まらなかったため、次年度使用額が生じた。今後、症例数を増やし、抗NMDA受容体抗体の測定や神経画像検査の費用に使用する予定である。また、国際学会での発表、国際医学雑誌への投稿費用にも使用していく。

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公開日: 2019-12-27  

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