統合失調症の中核症状と考えられているワーキングメモリーなどの認知機能障害は、現存する抗精神病薬ではほとんど効果がない。また、その神経回路病態も不明である。本課題ではフェンサイクリジン(PCP)を慢性投与したマウスが示すワーキングメモリー障害の責任領域候補として同定していた前辺縁皮質の2ー3層における興奮性シナプスと抑制性シナプスのバランス異常を見出し、同領域における特定の神経回路の異常がワーキングメモリー障害の神経基盤を成す可能性が示唆された。本課題により、PCP慢性投与マウスのワーキングメモリー障害の原因神経回路に関する基盤的データを収集できたと考えている。
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