研究課題/領域番号 |
17K16398
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
藤野 純也 昭和大学, 発達障害医療研究所, 講師 (90783340)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 意思決定 / 行動経済学 |
研究実績の概要 |
まず、研究開始に伴う手続き(被験者への説明文書、同意書、必要書類の準備、作成など)を行い、自閉スペクトラム症(ASD)群、注意欠如多動性症(ADHD)、および定型発達群のリクルート体制を構築した。ASD群とADHD群に関しては、昭和大学発達障害専門外来を受診された方に、研究の概要を説明し、参加募集を行った。発達障害の意思決定に関する先行研究をまとめること、関連学会に参加することで情報収集し、ASDやADHDの病態理解に重要な意思決定課題や質問紙などを作成し、準備した。加えて、予備実験を行うことで、ASDおよびASHD被験者の課題理解を高める方策についても検討し、課題内容を洗練した。また、本研究課題における至適なMRI撮像パラメータの選定を行った。 本年度は主に、ASD群 およびTD群を対象に、埋没費用(事業や行為の中止を行っても戻ってこない資金や労力)が関わる状況下での意思決定パターンを調査した。結果、ASD群では、TD群と比較して、埋没費用効果が低下していた。また、TD群では、埋没費用の増加に伴って埋没費用効果も上昇したが、ASD群でそのような現象はみられなかった。加えて、ASD群では、TD群と比較して、課題中の選択反応時間も埋没費用に影響を受けにくいことが示唆された。ASD群では、埋没費用が関わる状況下において、文脈への感受性が低いものの合理的な意思決定を行うことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者リクルート、データ収集、解析などおおむね予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果から、自閉スペクトラム症では、多様な葛藤場面で合理的な意思決定を行うものの、文脈を考慮して柔軟に行動選択することへの困難さが示唆された。今後は、注意欠如多動性症の意思決定パターンとの比較も行っていく予定である。さらに、機能的MRIなどを用いて、意思決定の背景にある神経機序を検証し、同疾患群の心理社会的介入方法を検討する上で重要な手掛かりとしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
印刷代や消耗品などの使用状況で、次年度使用額が生じた。翌年度、文房具などの消耗品に使用する予定である。
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