研究課題/領域番号 |
17K16405
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
香月 あすか 産業医科大学, 医学部, 助教 (60566488)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電気痙攣療法 / うつ病 / 脳画像 |
研究実績の概要 |
大うつ病患者の3割は薬物療法を行っても効果が不十分な治療抵抗性うつ病である。電気痙攣療法は治療抵抗性うつ病でも約7割の患者で効果が得られる有効性の高い治療法である。治療抵抗性うつ病では唯一の寛解が望める治療法であるがその抗うつ効果メカニズムについては明らかとなっていない。薬物療法によって改善を得られない治療抵抗性うつ病患者とモノアミンをターゲットととする抗うつ薬で完全に寛解を得られるうつ病患者ではそもそも病態は異なっている可能性があるが、いずれも明確な病態メカニズムが明らかとなっておらず、うつ病治療において科学的根拠に基づく治療選択がなされていないという課題を抱えている。電気痙攣療法は動物モデルでの検証は散見され、神経新生への作用が示唆されている。ヒトうつ病患者では電気痙攣療法に伴う症状の改善によって抗うつ薬での治療によって引き起こされる同様の変化であるBDNF濃度を増やし海馬との体積を増やすことは明らかとなっている。電気痙攣療法による脳画像、白質の異方性、コネクトーム解析、ミエリンマップによる再髄鞘化の検討を行う。また、電気痙攣療法が有効であった治療抵抗性うつ病と無効であった治療抵抗性うつ病の電気痙攣療法前の脳画像や臨床症状特徴、患者背景の差異を検討を行う。 電気痙攣療法の症例は28例エントリーし、うち20例で治療前後の脳画像撮像を行うことができ、解析が可能な症例数の蓄積ができた。比較対照となる健常者、薬物療法で効果が得られたうつ病患者での症例の集積と脳画像解析はほぼ終了し、手法は確立しており、同様の手法を用いて電気痙攣療法を行ったうつ病症例に関しても、脳画像解析を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電気痙攣療法の症例は28例エントリーし、うち20例で治療前後の脳画像撮像を行うことができ、解析が可能な症例数の集積ができている。併せて比較検討を行うための薬物療法で治療を行ったdrug naiveなうつ病症例は30例、健常例は60例の集積もできている。脳画像解析に関しては薬物療法で治療を行ったうつ病症例や健常例に関しての解析はほぼ終了した。手法は確立しているため、同様の手法を用いて電気痙攣療法を行ったうつ病症例に関しても、脳画像解析を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
電気痙攣療法の治療前後の脳画像で解析が可能な症例数の集積ができている。併せて比較検討を行うための薬物療法で治療を行ったdrug naiveなうつ病症例、健常例の脳画像解析はほぼ終了しており、手法は確立することができている。同様の手法を用いて電気痙攣療法を行ったうつ病症例に関しても、脳画像解析を開始しており、それらの結果を学会での報告や論文としてまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりもミエリンマップ撮像に要する費用が軽減したこと、計上していた旅費が予定よりも少なかったため使用額に変更が生じた。発表に伴う論文の作成費用や投稿費用として使用する予定である。
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