平成29年度には、代表研究者が4月に横浜で開催された日本医学放射線学会にて「副腎のPET imaging」の教育演題を発表し、優秀演題賞を受賞した。 また、東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンターとの連携のために核薬学研究部の舟木博士と連絡を取り合い、ミーティングを行った。11C- Metomidateの合成に先駆けて、まずは18F-etomidateの合成を行った。放射性化合物の副腎での分布を調べるために、オートラジオグラフィーの手法を用いた。 オートラジオグラフィーではヒトの副腎組織が必要なため、当院の内分泌科、病理診断科に協力を仰ぎ、原発性アルドステロン症患者の腺腫の標本を使えるよう に倫理申請を行い、その許可を得た。18F-etomidateではアルドステロン産生腺腫内部よりも辺縁の付属副腎組織への集積が強いことがわかった。これらの実験 の後、11C-Metomidateの合成を確立した。11C-Metomidateでもヒト副腎腺腫の組織検体を用いてオートラジオグラフィーを行った。11C-Metomidateでも18Fetomidate と同様にアルドステロン産生腺腫内部よりも辺縁の付属副腎組織への集積が強いことがわかった。 動物への投与実験を行い、動物用のPET/CTで撮像を行った。両化合物は概ね同様の体内分布をとることが分かったが、文献と同様に18F-etomidate の方が体内からのWash outが早いことが分かった。 平成30年度には11C-Metomidateによる被ばくの影響を調べるために、マウスを用いた体内分布測定を行い、ヒトに換算することで被ばく量の数値を得ることができた。 平成31年度には日本核医学会春季大会に参加し、核医学全般の知見を得た。 現在は、この結果をもとに数例の健常者投与を行うため、倫理申請等の準備をしている段階である。
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