アンドロゲン依存性前立腺癌細胞株 LNCaP(親株)をアンドロゲンを低濃度含有培地で長期間培養することにより樹立したアンドロゲン枯渇療 法抵抗性株LNCaP-LA(抵抗株)を用いて1X線の照射実験を行いLNCap-LAはLN-CaPに比べX線抵抗性であることを確認した。さらに、重粒子線の照射実験を行い、LNCap-LAとLN-CaPで重粒子線抵抗性に差 がないことを明らかにした。50% の細胞死をもたらすのに必要な線量を基準とした場合、重粒子線のX線に対する生物学的効果比はLNCaPで1.92、LNCaP-LAでは3.96であった。このことは修復しがたいDNA損傷を与える炭素イオン線治療が去勢抵抗性前立腺癌の放射線抵抗性 を克服する手段として生物学的に有効である可能性を示す一助となると考える。2LNCaP及び LNCaP-LAにおいてWhole Transcriptome Assayを行った。解析ソフトウエアを用い、パスウェイ解析を行い酸化ストレス防御に関連したNRF-2パスウェイ の関与が考えられた。 特に今年度は実験結果の妥当性の検証と臨床上の特性との一致について検討した。 1 Comprehensive Cancer Panelを用いて見出された複数の候補遺伝子についてサンガー法による変異の確認を行い、さらに遺伝子の背景等を検討し妥当性を確認した。2 Whole Transcriptome Assayによって得られた発現パターンについて、function analysisなどの手法で解析を行い、発現変化が臨床上の去勢抵抗性前立腺癌の特徴(細胞増殖、神経内分泌への分化、細胞死への抵抗性など)を再現している事などを確認した。 学会等に参加し、質疑を通じて情報交換を行うとともに、当該分野の最新の知見を得るため情報収集を図った。現在までの内容について論文作成、投稿準備を行った。
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