I.炭素イオン線と免疫チェックポイント阻害剤の併用効果を評価するため、大腸がんColon-26細胞をBALB/cマウスの両側下肢皮下に5×10^5細胞ずつ移植し,7日後に形成した片下肢の腫瘍に3 Gyの炭素イオン線を照射した。照射1日後から,週2回,全4回免疫チェックポイント阻害剤の抗PD-1抗体あるいは抗CTLA4抗体を200 μg腹腔経由投与した。その結果、炭素イオン線3 Gy照射では,照射側下肢の腫瘍増殖を抑制した。さらに,抗CTLA4抗体との併用でのみ,炭素イオン線照射あるいは抗CTLA4抗体単独より抗腫瘍増感効果を認めた。遠隔非照射側腫瘍について、抗CTLA4抗体との併用でのみ,顕著に抗腫瘍効果を増感した。肺転移について、免疫チェックポイント阻害剤の抗CTLA4抗体との併用でのみ、炭素イオン線照射単独より抗転移効果を増感した。これらの併用療法において、肝臓での組織障害は認められなかった。以上の結果から、炭素イオン線照射と抗CTLA4抗体併用による肺転移抑制効果、照射側腫瘍と遠隔腫瘍での抗腫瘍増感効果を明らかにした。 II.炭素イオン線と免疫細胞(骨髄由来未成熟樹状細胞)の併用効果を評価するため、大腸がんColon-26細胞をBALB/cマウスの右側下肢に1×10^5、左側下肢に5×10^5細胞ずつ接種し、左側下肢の腫瘍径が10 mmとなった段階で、左側下肢腫瘍に0.5 Gyあるいは10 Gy炭素線を照射した。照射1.5日後に1x10^6未成熟樹状細胞を尾静脈経由投与した。その結果、炭素イオン線と未成熟樹状細胞との併用は、いずれの条件においても遠隔非照射(右側下肢)腫瘍の増殖抑制と肺転移抑制が認められなかった。
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