研究実績の概要 |
最終年度は過去の脳腫瘍症例データを用いて、ラディオミクスによるバイオマーカー同定システムを確立した。対象は低悪性度神経膠腫(WHO grade 2, 3)と診断さた症例を対象として、東京大学医学部附属病院および国立がんセンター中央病院で加療された症例について研究および解析を進めた。
研究の第一段階として、過去の神経膠腫症例について病理、遺伝子変異、予後について情報を集積した。すでに遺伝子変異が同定された治療後症例について、治療や予後を含めたデータベースを作成した。このデータベース作成については多施設共同試験として各施設での倫理委員会の承認を得て、現在も症例集積を継続している。 このデータベースに登録された症例について、すでに撮像されているMRI画像を用いて、腫瘍の局在や形状を同定するセグメンテーション作業を行った。個々の症例のもつ定量的な画像特徴量を抽出し、先行研究を参考にして本研究に最適なラディオミクスの手法を選択した。多くの症例から得られる膨大な特徴量の情報を用いて、最適な予測ができるよう機械学習の手法を用いて解析を行った。これにより、神経膠腫においてMRIのT2強調画像のみから臨床上重要な1p/19q共欠失を非侵襲的に同定するシステムを構築した。 本研究の成果については、各種学会で報告されている。2018年日本放射線腫瘍学会でUnder40セッション優秀演題賞を受賞し、欧州放射線腫瘍学会においても進捗状況を報告する。また、同内容については英文誌への投稿準備が順調に進んでいる。
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