研究課題/領域番号 |
17K16432
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
駒田 智大 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (80718354)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | IVR / 3Dプリンタ / 血管モデル / 血管塞栓術 |
研究実績の概要 |
本研究は、カテーテル治療のための内臓動脈瘤の血管モデルを3Dプリンタで作製し、手術前のシミュレーションや学生や若手医師への教育、患者さんへの説明への利用を目的としている。 前年度までで、CTやMRIなどの臨床画像のDICOMデータから血管データだけを抽出し、STLデータに変換して、3Dプリンタで出力することで、血管形状を再現したモデルや、カテーテルが挿入できる中空構造の血管モデルが作製できることを確認した。特に共同研究を行っている株式会社RICOHのhome-madeのハイドロゲルを用いた3Dプリンタでは、径1㎜の細い血管や高度の屈脚や蛇行した血管を再現した中空構造の血管モデルが作製できることを確認した。 今年度は、前年度に施設内に3Dプリンタの汎用機(Form 3)が導入された。これにより今まで他施設で作製していたのが、施設内で血管モデルの作製が行えることになり、モデル作成までの時間がほぼ半日と短縮され、臨床への活用を行うのが容易となった。具体的には、カテーテル治療が難しいと思われる症例に対して、治療前に撮影されたCT画像のDICOMデータより、MaterialiseのMimics Innovative Suite for Researchを用いて、臓器の抽出と3Dデータの処理を行い、STLデータを作成する。その作成されたSTLデータより、Form 3で血管モデルを作成し、治療前や治療中にその血管モデルを参照し、ワイヤー形成やカテーテルの蒸気形成を行い、治療が完遂できた症例があった。 これらの成果を研究会(東愛知IVR検討会)で特別講演として発表するとともに、現在、症例報告として英文雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度末より世界で広がっているコロナウイルスの影響により、株式会社RICOHとの研究が今年度で休止となった。これによりハイドロゲルを用いた3Dプリンタでの血管モデルの作製が難しくなった。
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今後の研究の推進方策 |
事前に治療が難しいと予想される症例に対して、施設内に導入された3Dプリンタを利用して、血管モデルを作成し、その効果を検証していく。また、若い医師に3Dプリンタで作成した血管モデルを使用して指導を行い、その教育効果を検証していく。 前年度は3Dプリンタで内部に液体を還流できる血管モデルの試作を行ったが、今年度は実際にモデル内に液体の還流を行い、4D-Flow MRIで撮影することで、空間情報だけでなく、時間情報も含めた血流解析の実験用ファントムとしての利用を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が遅れたため、血流動態解析が行えておらず、次年度にMRIの使用費用などを繰り越す必要が生じた。 また、現在、研究成果を論文として英文雑誌に投稿中であるが、オープンアクセスジャーナルの場合には、投稿費用が必要となるため、次年度に経費を繰り越す必要があった。
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