本研究は、医学工学連携チームにより様々な生体適合性合金を用いて性能とコストが優れる放射線治療用金属マーカーを開発した。 臨床治療・診断機器を用いて視認できる金属マーカー試作改良を目指すが、組成に関して吸収性金属元素を主成分とする特殊なレシピ(組成)で配合し、アーチファクトを低減し、安全な生体吸収性を発揮するための最適条件を設定した。治療計画用CTやリニアック、サイバーナイフ等の放射線治療機器に装着された画像誘導装置を使用し、生体吸収性マーカーの視認性、アーチファクト評価を実施した。その結果、開発マーカーの視認性(信号対雑音比で評価した)が優れ、(金マーカーと比較)アーティファクト低減効果も優れていることを確認した。In vitro実験では、培養細胞を用いたコロニー形成法による細胞毒性評価を実施し、In vivo実験では、小動物ラットの皮下、肝臓などへの金属マーカーの埋植試験により、分解吸収率の評価、経時的micro-CT 評価、血液生化学的検査、組織病理学的検査を実施した。その結果、開発マーカーの優れた生体適合性(12 weekまで)を確認した。 本研究成果により、従来の金マーカーより視認性に優れる放射線治療用マーカーを独自の生体吸収性合金を用いて開発し、放射線治療後には生体内で安全に吸収されるためにアーチファクトが低減され、コストを抑えることによって国際競争力のある日本発の医療機器開発を達成することを提案可能である。
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