研究課題
予定の項目であるシミュレーションを実施した。細胞に放射線を照射した時のヒドロキシラジカルを実測により測定し、それと同様の条件にてシミュレーションによってもヒドロキシラジカルの発生量を計算し、それらを比較した。具体的には、①シミュレーションの環境設定を行い、PC上にてシミュレーションを行うために必要な仮想的な空間、照射室、金属ナノ粒子を再現した。②がん細胞・正常細胞の線量応答性を測定するために、コロニーアッセイを行った。コロニーアッセイを行うことにより、金属ナノ粒子の放射線増感効果を検討した。③シミュレーションにより、放射線照射時に発生するヒドロキシラジカルをはじめとするフリーラジカルを全て検出した。放射線による殺細胞効果はフリーラジカルにより大部分がもたらされるので、フリーラジカルの発生量と生存率とを結び付けようとした。④実測値とシミュレーション値との比較を行った。実測値とシミュレーション値のフリーラジカル発生量に差が認められた。フリーラジカルの反応時間は極めて短いので、実測により全てのフリーラジカルを検出するのは難しい。実測値とシミュレーション値との差は試薬による影響、測定時間による影響と考えられた。しかし、研究結果から実測値とシミュレーション値との対応付けが可能と考えられ、今後、線量計算モデルに応用することで、より高精度な放射線治療の線量分布計算が可能となることが示唆された。
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