本研究では、生物学的なアプローチと物理学的なアプローチ(シミュレーション)を併用することにより、正確に腫瘍が付与される放射線の線量を同定することが可能となる。シミュレーションを用いることにより、様々な状況に対して臨機応変に対応でき、身体のありとあらゆる腫瘍が付与される実際の線量の同定が可能となる。我々は本研究課題において、放射線増感剤と放射線を併用したときの腫瘍組織が付与される実際の線量を実験室レベルで推測することに成功した。生物学的・物理学的な背景も踏まえて処方線量を決定することは、より安全かつ治療効果の高い放射線治療を患者に提供できるようになるので、倫理面から考えてもその意義が大きい。
|