研究課題/領域番号 |
17K16445
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
坂根 寛晃 広島大学, 病院(医), 医科診療医 (60781672)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 低線量CT / DNA損傷 / 染色体異常 / 放射線被ばく |
研究実績の概要 |
今年度は、in vivo実験として、肺がん精査等の理由により胸部CTが予定された約200名を対象として低線量CT(1.5mSv)または通常線量CT(5mSv)の撮影直前と撮影15分後に採血を行った。得られた血液サンプルよりリンパ球を分離した後、抗γ-H2AX抗体を用いた免疫染色により末梢血リンパ球におけるDNA損傷を定量し、PNA-FISH法により末梢血リンパ球における染色体異常頻度の解析を行った。γ-H2AX foci数のカウントは自動解析により各サンプルごとに少なくとも4000細胞の解析を行い、染色体異常数の計測はsemi-auto解析で各サンプルごとに少なくとも1000 metaphaseの解析を行った。主要な検討項目は、CT前後で生物学的指標に統計学的に有意な差が生じるかを調べることで、併せて年齢や性別、身長、体重、喫煙歴などの背景因子やDose length product というCTにおける物理学的X線吸収度の指標と生物学的指標との相関も検討した。その結果、通常線量CTではDNA損傷および染色体異常頻度は撮影後に有意な増加が見られたが、低線量CTの撮影後には有意な増加は認められなかった。 低線量CT画質の解析について、研究計画時には実用化されていなかった最新の画像再構成法であるDLR(Deep Learning Based Reconstruction)が2018年より使用可能となったため、併せて画質評価を行う必要が生じた。このため、現在DLRにより再構成を行った低線量CT画像を収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CT被ばくの生物学的影響に関しては、各個人の放射線感受性のばらつきが予想以上に大きく、症例数を増やして検討する必要が生じたが、血液採取に協力していただける被検者は順調に増え、目標症例数に到達した。 画質評価に関しては、新たな画像再構成法による検討を行う必要が生じたが、症例数は順調に増えてきている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、DLRにより再構成した低線量CT画像の症例数を増やしており、50例程度を目標としている。収集完了次第、画質評価や診断能評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
低線量CT画質の解析について、研究計画時には実用化されていなかった最新の画像再構成法であるDLR(Deep Learning Based Reconstruction)が2018年より使用可能となったため、併せて画質評価を行う必要が生じた。このため、当初遂行予定であった画像評価実験が行えておらず、これに使用する予定の経費が残った。次年度は、評価実験、学会発表等に残存した経費を使用する予定である。
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