研究課題
若手研究(B)
低線量CTを用いた肺がん検診の有用性が示されているが、低線量CTの被ばくによる生物学的な影響はこれまで不明であった。我々は低線量CT検査の生物学的影響を検討するため、約200名の参加者を対象として、低線量CTと通常線量CTの検査前後に末梢血リンパ球のDNA二本鎖切断と染色体異常の定量解析を行った。結果、通常線量CT後にDNA二本鎖切断と染色体異常はともに統計的に有意に増加したのに対し、低線量CT後には有意な増加は認められず、低線量CT撮影の安全性が示唆された。
放射線医学
本研究は、肺がん検診で用いられている低線量CT検査の染色体DNAへの影響が現在検査可能なレベルでは検出できないほどに小さいことを示した初めての研究である。放射線学的および生物学的な観点の両方から胸部CT撮影の線量低減の目標は1.5mSvあたりに設定することが可能であると考えられ、今後のより安全な医療放射線被ばくの管理体制の確立とともに、低線量CT検診の普及に伴う肺がん死亡率減少につながることが期待される。