研究課題
食道癌に対する化学放射線療法は、食道温存が可能であるという手術にはない極めて明瞭なメリットを持つ。一方、放射線療法による毒性の低減は重要な課題である。本研究では、以下の2つの因子を統合して有害事象との関連を評価することで、新たな正常臓器の耐容線量評価法の開発を目指す。①物理学的因子(線量体積ヒストグラムに基づく物理学的線量指標)②生物学的因子(個々の放射線感受性、DNA修復能)今回、放射線感受性およびDNA修復能評価法として、①FISH法による照射後の染色体異常の経時的変化、②免疫染色法によるガンマH2AXフォーカスの経時的変化を用いることとした。当初、放射線治療開始前、初回放射線治療後、20Gy照射後、40Gy照射後、放射線治療終了日、放射 線治療終了2週間後、放射線治療終了1ヵ月後の患者血液を採取し、そこから得られた抹消血液リンパ球を用いて各々の解析を行うこととしていたが、これまでの 結果から、より長期の評価も行った方が良いと判断し、治療終了半年後の状態も評価することとした。現在、晩期有害事象の評価および 線量体積ヒストグラムにより各臓器(心臓、心膜、肺)の照射線量の評価を行っている。これまでの結果から、ガンマH2AXフォーカスの形成や染色体異常の数は各症例毎に異なることが明らかとなった。また、染色体異常の数が多い症例の方が、急性期の非血液毒性が重篤となりやすいことが明らかとなった。今後は、ガンマH2AXフォーカスや染色体異常の経時的変化と晩期有害事象や照射線量との関連について解析を行っていく。
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