研究課題/領域番号 |
17K16450
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
則兼 敬志 香川大学, 医学部, 助教 (90623223)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心臓サルコイドーシス / FLT PET |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、心臓サルコイドーシスの診断・治療効果判定・重症度の層別化などにおいて18F-fluorothymidine(18F-FLT)を用いたポジトロン断層撮影法 (PET)の有用性を検討することである。 心臓サルコイドーシスの治療効果判定は難しく、症状や心電図検査、血液検査、fluorodeoxyglucose(FDG) PET検査などの結果を受けて総合的に行われることが多い。今回、心臓サルコイドーシスの治療効果判定における18F-FLT PETの有用性を検討し、臨床所見における治療効果判定と比較した。対象は心臓サルコイドーシスの治療前後に18F-FLTPET検査を施行した8例(平均61歳、52-71歳)で、心臓のFLTの集積を集積を評価した。18F-FLT PET検査においては、特別な前処置は行わなかった。評価方法として、定性評価として視覚的なFLTの集積の有無を検討した。半定量的評価としては、画像におけるFLTの集積を体重と投与量で補正しやstandardized uptake value (SUV)の最大値SUVmaxを用いた。視覚的評価の結果では、いずれの心臓病変の集積が低下していた。また、半定量的評価の結果では、心臓FLT集積が、治療前のSUVmaxが平均(±SD)2.54±0.85であったのに対し、治療後では1.31±0.37と有意に低下していた(p=0.003)。 本検討の結果より、18F-FLT PETは心臓サルコイドーシスの治療効果判定において、有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究の重要な検討項目は、1:肉芽腫性病変検出における18F-FLT PET検査の優位性、2:疾患の重症度評価における18F-FLT PET検査の有用性、3:ステロイド剤などの治療前後における効果判定における有用性の3つである。本年度までの研究で得られた結果は、上記1及び3の検討に対して一定の成果を反映したものである。FLT PET検査は、現在画像検査の標準とされるFDG PETに必要な長時間の食事制限やヘパリン負荷などの厳格な前処置が不要である点においてもFDG PETより有用である可能性が高い。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に得られたデータに評価方法を追加して解析する。具体的には、前年度までは各々の症例及び病変部に対しSUVの最大値という、1点におけるFLTの集積で評価を行っていたが、各症例における集積の総和やそれぞれの病変部における治療前後における集積の程度の違い、FDG集積との差なども詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 薬品の購入金額に差額が生じたため (使用計画) 薬品購入に充てる
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