本研究の目的は、心臓サルコイドーシス症例におけるF-18 fluorothymidine (FLT)を用いた 陽電子放射断層撮影(PET/CT)の診断・治療効果判定・重症度評価における有用性を評価することである。 前年度までの研究において、心臓サルコイドーシス症例において、FLTが心臓に限局性の集積亢進を呈す可能性が高いことが示され、また、ステロイドや免疫療法による治療後に集積低下を来し、治療効果を反映する可能性があることが示された。最終年度では、半定量的評価であるstandardized uptake value (SUV)を用いて、FLT PET/CTの診断能の評価を行った。 対象:ガイドラインに従って心臓サルコイドーシスと診断されFLT PET/CTを撮像した17症例と心臓疾患の既往のない17症例。方法:FLT PET/CTはFLTを静脈投与約60分後に胸部領域の画像データを収集した。FLT PET/CT前に特別な前処置は行わなかった。心臓サルコイドーシス症例においては、心筋のFLT集積亢進部位に関心領域を設置し、SUVの最大値であるSUVmaxを計測した。非心臓サルコイドーシス症例においては、CTを参照し心室中隔に関心領域を設置し、SUVの平均値であるSUVmeanを計測した。結果:心臓サルコイドーシス症例の平均SUVmaxは2.93±0.55、非心臓サルコイドーシス症例の平均SUVmeanは0.74±0.13であった。両群にはオーバーラップがなく、SUV=1.45をカットオフとした場合の感度、特異度、診断能はいずれにおいても100%で、AUCは1.0であった。結論:半定量的評価であるSUVを用いて心臓を評価すると、極めて高い精度で心臓サルコイドーシスの有無を判定することが可能となりうる。
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