凍結療法における隣接臓器損傷回避法の確立

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 17K16451
• 研究機関: 高知大学
• 研究代表者: 吉松 梨香 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10607592)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 凍結療法 / 他臓器損傷 / hydrodissection

研究実績の概要

小径腎癌に対する経皮的凍結療法は比較的安全で有効な治療法であるが、重篤な合併症の一つに腫瘍に近接する腎外臓器の損傷がある。十分な腫瘍壊死を得るた
めにはアイスボールのマージンが5mm以上必要であるとされており、凍結範囲が腫瘍近傍の他臓器に及ぶことがある。これを回避する方法として、腫瘍と他臓器
の間に液体を注入するhydrodissection、気体を注入するpneumodissection、バルーンを挿入するballoon dissectionなどがあるが、どの方法にも問題点があ
る。また、hydrodissectionにおいては熱伝導率の異なる液体で効果に違いが生じる可能性がある。本研究では種々の液体や気体、バルーンを用いたdissection
法を比較し、より安全で効果的な方法を模索する。
平成30年度に以下の基礎実験を行った。2019年度に5種類の液体（① 生理食塩、② 5%ブドウ糖液、③ 医療用オリーブオイル、④ ヒアルロン酸ナトリウム、⑤ ヒアルロン酸ナトリウム・空気フォーム）をビーカーに入れ、その中で凍結を行った。凍結にて作成されたアイスボールのサイズを測定および液体の温度測定を行った。これをさらに回数を増やし、また距離別温度測定(測定機器が他施設にある)を行い、統計をとる予定であったが、新型コロナウィルス感染症の影響により実験施設への移動ができず、施行できていない。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症の影響で、県外他施設での実験を行うことができなかったため。

今後の研究の推進方策

他施設での実験が可能となれば、基礎実験の追加及び動物実験を試行する。移動が難しい場合は、自施設で可能な機器にて基礎実験の追加を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症の影響で実験を行うことができなかったため、費用を使用できていない。2021年度に実験するため費用が必要である。