研究実績の概要 |
九州大学病院循環器内科で慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)と診断され、心機能評価のため心臓 MRI が必要と判 断された患者群に対し、3 テスラー装置で心臓専用コイルとマルチトラスミット技術を装備した最新の MRI装置を用いて撮影を行ってきた。MRI画像から右心房・右心室機能(拡張末期容積、収縮末期容積、拍出量、駆出率)、主肺動脈および左右肺動脈血流計測を行った。MRI の血流情報とカテーテルの圧情報を組み合わせることで左右肺動脈血管抵抗を算出し、バルーン肺動脈形成術(BPA)治療前後での比較研究を行い、BPAを片側肺の みに施行すると、治療をしていない肺血管でも血管抵抗が下がることを明らかにし、共著者として一流英文誌(EuroIntervention, IF 4.018)誌に受理、掲載されている。CTEPHでは塞栓のない血 管床でも血管抵抗が上昇し、それが治療によって改善しているということが言え、CTEPH の左右肺血管特性の一つを解明したと考えられる。また、sub解析として、我々のグループで開発した心筋ストレインのソフトを利用したstrain解析を行い、BPA治療前後の右心房機能の検討を行った。BPA前後で、右心房機能が改善していることを明らかにし、肺高血圧治療に伴う右心房機能改善を世界で初めて明らかにした。また、右房容積が拡大していない群においても右心房機能が改善していることが証明され、さらに心房容積拡大がない群における非侵襲的治療効果判定に利用可能なことが明らかとなった。筆頭著者として一流英文誌(EHJ cardiovascular imaging, IF 5.26)に受理された。
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