研究実績の概要 |
本研究は、MRIを用いた早期慢性膵炎の診断を目指す。平成29年度は、特にIntravoxel incoherent motion (IVIM)に着目して研究を行った。IVIMは組織の拡散係数と同時に、灌流が定量できる撮像法である。対象は、早期慢性膵炎と診断された44例、慢性膵炎と診断された16例とした。control群として、慢性膵炎の兆候のない71例(control群)も対象とした。IVIMを撮像し、膵実質のperfusion fraction(f),pseudo-diffusion coefficient(D*), true diffusion coefficient (D),apparent diffusion coefficient(ADC)を測定した。これらのパラメーターをこれらの患者群で比較した (one-way analysis of variance with Tukey's honest significant difference post-hoc tests)。結果、f値は早期慢性膵炎群および慢性膵炎群で、control群と比較して有意に低値であった(p<0.001, p<0.001)。D*値は、慢性膵炎群で、早期慢性膵炎群と比較して有意に低値であった(p = 0.0025)。D値は、早期慢性膵炎群、慢性膵炎群で、control群と比較して有意に高値であった(p = 0.001 、p = 0.001。ROC解析では、control群と、早期慢性膵炎+慢性膵炎群の鑑別に最も有用なパラメーターはf値であり、Az valueは0.76であった。IVIM MRIが早期慢性膵炎の診断に有用である可能性が示唆された。
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