逐次近似再構成を用いたCT検査は画像ノイズが少なく,被ばく線量を低減できると期待されている.更に,低管電圧撮像を併用することで,被ばく線量の低減と 画質の向上が可能との報告が多い.しかし,逐次近似再構成に適した管電圧以外の撮像パラメータは,充分検討されていないのが現状である.そこで,逐次近似 再構成に最適な撮像パラメータを検討し,被ばく線量の低減と画質の向上を目指している.この研究では,投影数の多い撮像パラメータを応用し,逐次近似再構 成による画像ノイズの低減効果を向上させることを立証しようと試みている. 平成31年度は,平成30年度に承認された臨床研究を実施すべく、投影数の異なる患者における腹部単純CTをおのおの50例収集して検討した.腹部単純CTは,冠動脈CTの検査を実施するにあたり,低線量で撮影している心電図同期の撮影範囲を決定するために収集していた画像を応用した. 検討の結果,逐次近似再構成法で作成したスライス厚1.0mmの画像において,肝臓の実質におけるCT値には投影数間で有意差を認めなかったが,画像ノイズは投影数間で有意差があった.また画像ノイズは,投影数が多い方が少なかった.これは,CT値を検討した定量的評価,および2名の放射線科医による主観的評価でも同様の結果であった. 以上の結果より,逐次近似再構成によるCT検査は画像ノイズの低減は,投影数が多くなると効果が増大すると結論づけ,国際学会で発表した.
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