腫瘍免疫において重要な役割を担うT・Bリンパ球に対して、放射線治療は相反する二つの作用を持つ。リンパ球の腫瘍への攻撃に促進的に作用する一方、リンパ球数を減少させることで抑制的にも作用する。本研究では、放射線治療によるリンパ球数減少を軽減することにより、放射線治療の腫瘍免疫への促進的な効果を十分に享受する治療法の確立を目指す。過去の我々の研究結果と合わせ、放射線治療後にリンパ球減少のリスクの高いのは、①照射される体の容積が大きく、②照射回数が多く、③脾臓の多くに高線量照射される場合と考えられる。リンパ球を温存する放射線治療を開発する上ではこれらの要素を考慮に入れる必要がある。
|