研究実績の概要 |
【目的】高齢者で頻度の高い膠芽腫と単発転移性脳腫瘍の鑑別は時に困難である。我々は、新しい拡散強調像の技術であるNeurite orientation dispersion and density imaging (NODDI)を用いて、膠芽腫と単発転移性脳腫瘍における術前鑑別の有用性について検討した。 【方法】未治療の膠芽腫9例、単発転移性脳腫瘍6例を対象に、NODDIの情報を得るために複数のb値(b=0, 1000, 2000)で拡散強調像を撮像し、得られた拡散強調像から、Matlab tool boxでの後処理を行い、intracellular-, extracellular-, isotropic volume fraction (VIC, VEC, VISO) マップを作成し、同じデータからApparent diffusion coefficient (ADC) マップとfraction anisotropy (FA) マップを作成した。これらのマップ内における腫瘍充実部内、腫瘍周囲浮腫を関心領域として、定量評価を行い、area under the receiver operating characteristic curve (AUC) を作成した。 【結果】VECマップにおける腫瘍周囲浮腫は、単発転移性脳腫瘍に比べ、膠芽腫で高値(p<0.05)を示した。また、VISOマップにおける腫瘍周囲浮腫は膠芽腫に比べ、単発転移性脳腫瘍で高い傾向がみられた。そのほかのマップでは有意差は認められなかった。5つのマップのうち、VECが最も高い診断能を示した。 【結論】NODDIを用いた腫瘍周囲の信号評価は、膠芽腫と転移性脳腫瘍の鑑別の助けとなる。
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