pHは腫瘍の代謝状態や増殖・浸潤を推し測るうえで重要である.しかしながら,腫瘍内のpHを測定する手法は少ない.MRIの新たな分子イメージング(chemical exchange saturation transferimaging:CEST imaging)の1つであるamine/amide concentration-independent detection(AACID) imagingが,pHを高い精度で画像化できる手法として近年報告されているが,AACID imagingの臨床報告は無く,有用性は確立されていない. 本年度は,子宮をはじめとした骨盤部腫瘍性病変に対するAACID imagingの撮像において,静磁場の不均一性の補正法については,B0補正法が最適と判断し,臨床例を撮像していった.子宮病変としては,子宮頚癌,子宮体癌をはじめとした悪性腫瘍,子宮筋腫をはじめとした良性腫瘍,および正常子宮内膜や子宮筋層などの正常組織においてAACID imagingの画像化を試みた.APT画像およびAMI画像を作成し,それぞれの画像において病変部や正常組織部の信号測定を行った.視覚的にはAPT画像およびAMI画像は類似した画像になるが,信号を測定すると,良悪性病変や正常組織の信号値に違いはみられた.しかし,臨床的に有用性を示すには至らなかった.また,AACID imagingによるpHの画像化にも至らなかった.
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