平成31年度は、昨年度新たに設定した下肢血流の評価方法(ステントグラフト内挿術(EVAR)中の還流指標(PI:Perfusion Index)の左右差)をもとにデータ収集と検討、論文作成をおこなった。 2014年4月から2019年1月までに名古屋市立大学病院において腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)がおこなわれ、その術中に下肢血流の評価を還流指標(PI:Perfusion Index)を用いておこなった84例について後方視的解析をおこなった。さらにデータの統計学的解析をおこなった。 その結果、虚血を生じた症例ではPIの左右差が有意差をもって大きいという結果が得られた。これにより、「主観的な評価の差」や「評価技術の差」に影響されず、数値による定量的・客観的な評価をおこなうことが可能となった。また、左右差で評価するという臨床に即した方法であり、術中に即時評価が可能である点が、術者から高い評価を得ている。sさらに、名古屋市立大学病院ではハイブリッド手術室の稼働に合わせて、全てのステントグラフト内挿術において下肢血流の評価をPIを用いておこなうこととし、マニュアル化、データ収集を自動化している。これにより、継続的な評価およびデータ収集を可能とした。
平成31年度はこの検討方法のデータを用いて「Evaluation of lower limb blood flow during endovascular aneurysm repair with left and right ratio of Perfusion Index」として2019年9月のヨーロッパIVR学会(CIRSE:Cardiovascular and Interventional Radiological Society of Europe)(スペイン・バルセロナ)への演題投稿をおこない、acceptの結果を得た。 論文作成も順調であるが、期間内にacceptの結果を得ることはできなかった。
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