乳房温存手術とそれに続く放射線療法の前後の複数の段階で、超音波エラストグラフィーによって乳房の硬化を評価できるかどうかを調査した。2018 年 4 月から 11 月に、30 人の患者を募集し、 22 人の女性乳がん患者(年齢中央値 58 歳)に、乳房温存手術の前後、および放射線療法の 1 か月後と 1 年後に超音波および超音波エラストグラフィーを施行し、影響を受けた乳房の皮膚、皮下脂肪、乳房実質の皮膚の厚さとひずみ値を測定、 皮膚厚とひずみ値との相関を評価した。放射線療法後 1 か月の皮膚厚の中央値は 2.7 mm で、乳房温存手術前(1.6 mm)および 放射線療法 1 年後(2.2 mm)より厚く、放射線療法1 か月後の皮下脂肪と乳房実質のひずみ値はそれぞれ 0.27 と 0.30 で、術前値 (0.68 と 0.50) より低かったが、放射線療法1 年後の値 (0.39 と 0.46) と変化なかった。 放射線療法後 1 か月の皮膚の厚さとひずみ値 の間には正の相関(r = 0.31)があったが、乳房温存手術前後および放射線療法の 1 年後では有意な相関(それぞれr = -0.018、0.14、0.13)はなかった。超音波エラストグラフィーは、放射線療法後 1 か月で皮下脂肪と乳房実質の弾力性の低下を示した。超音波エラストグラフィーでのひずみ値は、乳房温存療法後の乳房浮腫の臨床経過をモニタリングする場合、皮膚の厚さよりも優れたマーカーである可能性がある。
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