研究課題
高線量率(HDR)小線源治療の進歩に伴い、治療の安全な実施を確保するための品質保証(QA)の重要性が高まっている。しかし、従来のQA法では時間がかかり、いくつかの異なる測定ツールを使用する必要がある。 そこで、新たにチェレンコフ光の可視化に基づき、HDR小線源治療専用のシンプルなQAツールを開発し、その性能を評価した。 192Irγ線源によって照射された純水からの発光を、CCDカメラを使用して撮影し、投影画像を得た。モンテカルロ計算との比較から、観測された光は、主にγ線からのコンプトン散乱電子によって生成されたチェレンコフ光であることを確認した。チェレンコフ光の分布は、線源近傍をのぞき、治療計画システムを使用して計算された線量分布と一致し、補正を必要としなかった。従来、MVビームによるチェレンコフ光の可視化では、線量分布の測定に補正が必要なことが分かっている。本研究で得られた線量分布との一致は、192Irγ線が等方的な放射であること、低エネルギーのコンプトン電子の飛程が短いことに起因していると考えられる。また発光画像から線源の停留間隔を測定したところ、従来のフィルム測定と同程度の空間分解能で測定できた。この方法は、一枚の投影画像を使用して、線量分布、線源強度、線源位置を同時に測定できるため、HDR小線源治療の迅速かつ簡単なQA法に適していると考得られる。以上の成果を論文として発表した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Scientific Reports
巻: 10:3572 ページ: 1-10
10.1038/s41598-020-60519-z