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2017 年度 実施状況報告書

放射線照射後グリオーマ幹細胞の細胞間クロストークによる治療抵抗性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K16483
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

公田 龍一  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00464834)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードグリオーマ / 放射線抵抗性 / セネッセンス
研究実績の概要

本研究は腫瘍細胞に備わる放射線に抵抗する因子の解明を目的とし、グリオーマ幹細胞に対する放射線照射により誘導される変化として特に細胞外に放出されて腫瘍細胞の自己複製能の上昇や放射線抵抗性に寄与する因子を探索している。
まずiGSCに対する単回放射線照射によるセネッセンスの誘導をSA-bGAL染色により定性的に評価した。5Gyをこえる放射線照射でセネッセンスは高率に誘導され、特に10Gyの単回照射後72時間ではほぼ全細胞がセネッセンスに陥った。セネッセンスに陥ったiGSCと通常のiGSCの共培養により通常のiGSCに放射線抵抗性が生じた。また、セネッセンスに陥った細胞の培養上清をiGSCの培養液中に添加することでも放射線抵抗性が惹起された。次いで、セネッセンスに伴う遺伝子発現状態の変化をマイクロアレイによる発現解析により探索した。その結果セネッセンスが誘導されたiGSCにおいてIGFBP3の著明な発現減少が生じていた。
これらの結果からセネッセンスに陥った細胞の分泌する液性因子を介した生存シグナルの付与が想起され、先行研究の結果も併せて照射に伴うIGFの分泌増加とIGFBP3の分泌低下がセネッセンスに陥らずに生存した腫瘍細胞に対して生存シグナルを付与しているメカニズムが疑われた。またそのような照射後の液性因子環境への曝露による生存シグナルの活性化を確認する目的で免疫ブロット法を実施したところ、照射後の液性因子環境への曝露によりiGSCのリン酸化AKTの増加がみられた。このことよりAKTを介した生存シグナルが亢進していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マイクロアレイのサンプル調整に用いるサンプリングキットのトラブルのため、若干の実験の進行遅延が生じたがその他は順調に進行している。

今後の研究の推進方策

セネッセンスに陥ることによるIGF1/2とIGFBP3の液性因子分泌のバランスの変化をELISA法により調査している。これにより同様の環境をリコンビナントのIGF1/2とIGFBP3を用いて作成した環境で放射線抵抗性が惹起されるかどうか、また極端にIGFBP3が多い状況で放射線感受性が上昇するかを確認する。
さらにマウスの同所移植モデルを用いて治療実験と生存解析を行いin vitroの結果に矛盾しないデータが得られるかを検証する。

次年度使用額が生じた理由

実験の遅延によりサイトカインアレイと質量分析による代謝基質の解析が未実施なため予定されていた資金計画に比べて余剰が生じた。一方でマイクロアレイを前倒しで実施したがベンダーのキャンペーンで通常よりもチップが安価に入手できたためこの分を含めて資金に余裕が生じている。余剰分は未実施の実験と本年度に実施する予定の動物実験に充当する予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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