本研究は脳腫瘍細胞が放射線に抵抗する仕組みの中で、特に放射線照射によって増強される獲得放射線抵抗性の解明を目的とし、マウスグリオーマ幹細胞モデル細胞(iGSC)を用いて放射線抵抗性に寄与する因子を探索した。解析の結果、放射線照射によりiGSCが細胞老化に陥るとIGFBP3という分泌タンパクの発現が低下することが明らかになった。一般にIGFBP3が少ない環境においてはIGFのシグナルレベルが上昇することが知られており、より細胞生存に有利な状況となる。放射線照射で死滅しきれず生き残った腫瘍細胞は周囲の老化細胞が多い状況でより生存に適したフェノタイプを取ることが明らかになった。
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