研究課題
特発性正常圧水頭症(iNPH)の脳微細構造変化を解析することを目的とし、iNPH患者の拡散MRIについての研究を行った。従来の拡散MRI手法に加え、近年導入されたOscillating gradient spin-echo (OGSE)法を適用した画像解析を行った。OGSE法では拡散時間という撮像パラメータを従来の手法と比較して大幅に短く設定することが可能となり、複数の拡散時間を用いて撮像したデータを対比することによって関心とする領域の拡散運動がどのような構造によって制限されているかを推定することができる。この手法による解析結果を従来の拡散MRI手法による結果と合わせることで、これまでに明らかにしてきた神経線維の微細構造変化について皮質脊髄路の神経が拡大した脳室に圧排されるモデルの妥当性を確認することができた。これらの成果を第48回日本神経放射線学会で発表した。この内容については現在英語論文を執筆中であり、近日中に投稿する予定である。また、前年度に行った研究内容についても別の論文として投稿を予定している。また、近年画像診断の分野で盛んに研究が行われている機械学習についても研究に取り入れ、臨床的に鑑別が問題となるアルツハイマー病との画像分類について研究を行った。この成果をシカゴで開催されたRSNA 104th Scientific Assembly and Annual Meetingにて発表し、学会期間中に併催されたAIMS Neuroimagingという研究会で研究結果を含めた講演を行った。また、本研究結果は現在英文誌に投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
当院のMRIで撮像された患者群および健常対照群のデータが十分に収集されたため。また、いくつかの成果について学術集会で発表できているため。
拡散MRIの詳細な解析法として、特定の神経線維に着目するtract-specific analysisや、全脳tract-based spatial statistics解析を行う。また、これまでに得られた知見について論文の執筆、投稿を行う。
予想されていた人件費・謝金が生じなかったことで支出額が低く抑えられた。一方で、学会出張による旅費が当初の計画より多かった。次年度も国際学会での発表を予定しており、継続して支出が予想される。
すべて 2018
すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)