研究課題
平成30年度はin vitroにおいてマイクロバルーン表面に施すプラズマ処理の最適な条件とフッ素添加ダイヤモンド系ナノ薄膜(F-DLCナノ薄膜)に含有されるフッ素量を再度検討した一方で,in vivoにおける接着性評価の実験系を確立させた.具体的には以下を明らかにした.1.in vitro studyの結果,マイクロバルーンカテーテルとF-DLCナノ薄膜との密着性を最も向上されるために行うプラズマ処理に最適なガス種と時間は,Arを用いた300秒間であった.F-DLCナノ薄膜合成時のフッ素系原料ガスの分圧を変化させることで,膜表面に含有されるフッ素料を制御した.膜表面に含有されるフッ素料に比例してn-butyl-2-cyanoacrylate (NBCA)との接着性が低下した.これらの結果を踏まえ,接着性を最も抑制したF-DLCナノ薄膜をマイクロバルーンカテーテルの先端部分に被覆した.2.新規マイクロバルーンカテーテルとNBCAの接着性評価はウサギ腎動脈内で行った.実験初期は腎動脈以外の動脈でも接着性評価を行ったものの,NBCA-リピオドール混合液の量と測定範囲が一定しないことから両側腎動脈のみを対象とした.NBCA-リピオドール混合液の混合比率は高濃度(50%)として,極力一定圧力で引張後の抜去時抵抗を圧力測定器で測定した.目標値には至らなかったものの従来のマイクロバルーンカテーテルとF-DLC被覆した新規マイクロバルーンカテーテルとの間に引張圧差を認めた.接着性の低下が示唆され今後の応用化への可能性を示した.
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