研究課題
肝動脈化学塞栓術は手術不能肝細胞癌に対する標準治療である。この際に使用する抗癌剤として従来のアントラサイクリン系抗癌剤に加え、白金錯体が注目されている。特にDACH構造を有し、疎水基であるミリスチン酸を有するミリプラチンを使用した治療が研究されている。親油性であり、抗癌剤担体として使用されるリピオドールとの親和性が高いため、当初腫瘍への高い集積が期待されていた。しかし薬剤の粘性が高いために、薬剤が十分末梢まで到達しないことが、現在までの臨床使用により明らかとなっている。本研究はミリプラチンをemulsion化し、従来の問題点である高粘性を克服することである。研究計画書では二種類のEmulsion化を作成することを目指していた。即ちA) 油相にミリプラチン-Lipiodol suspensionを含み、水相に生理食塩水を含むo/w emulsion, B) ミリプラチン水溶液を内水相、Lipiodolを油相、生理食塩水を外水相に含むw/o/w emulsionを作成することである。初年度の目標としてこれらのemulsionの作成及び基礎的物性を検証することを挙げた。Aについては、目標どおりemulsionの作成に成功した。おおよそ60-70μmを最頻値とする単分散系emulsionが作成されていることを光学顕微鏡にて確認した。また概ね7日間は安定して存在することが確認された。Bについては、ミリプラチンは極めて難溶性であり、ミリプラチン水溶液の作成は困難であることが判明した。ミリプラチンの基本骨格はオキサリプラチンと相同であるため、代替手段としてオキサリプラチン水溶液を使用したw/o/w emulsionを作成することに成功した。実際50-70μmを最頻値とする単分散系emulsionが作成されていることを光学顕微鏡で確認した。
2: おおむね順調に進展している
上述のごとくemulsionの安定的な作成に成功しており、初年度の目標を達成したものと考える
現状では特に研究計画の変更の必要性はなく、予定通り動物実験に移行する予定である。
実験予算を見直した結果、来年度に予定している実験での外注での測定依頼に当初の予定以上の金額がかかる事が想定されるため、本年の出費を抑え次年度にまわした。
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