研究課題
平成29年度においては、研究計画通り、小児肝移植患者の抗HLA抗体のスクリーニング結果と臨床経過の関連について解析を行った。その結果、まず免疫抑制剤であるカルシニューリン阻害薬の血中濃度とドナー特異的抗HLA抗体との関連を明らかにし、国内の学術集会で発表するとともに英文誌への投稿を通して情報発信を行った(Tokodai et al. Transplant Direct, 2017)。さらに、抗HLA抗体スクリーニング後の患者に対し、病理組織学的評価を行うことにより、ドナー特異的抗HLA抗体の存在と移植肝の線維化との有意な関連を明らかにし、その結果についても英文誌にて発表した(Tokodai et al. Pediatric Transplant, 2018)。この結果は診療方針決定に直接寄与するものと考えられ、さらに解析対象を広げるとともに補体結合性抗HLA抗体と肝線維化の関連についても重要なテーマであると考えている。その他、本研究のメインテーマの1つである抗HLA抗体の補体結合性についても解析を進めており、平成29年度内に対象症例の9割程度の症例で補体結合性の解析が終了しており、平成30年度に残りの1割の症例で解析を進めることで、対象症例全体での補体結合性抗体の意義について解析を行い、その成果についても国内外の学術集会や英文誌での発表を通して情報発信を行う予定である。抗HLA抗体のIgGサブクラスに関する解析に関しては、平成29年度内には行うことができなかったが、重要なテーマであると考えており、平成30年度以降、解析を行えるための体制作りを継続していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
IgGサブクラスの解析のための体制作りが遅れてはいるものの、抗HLA抗体と臨床経過の関連の解析も行うことができ、また、抗体の補体結合性についても全対象症例に対して解析を行う目途がついていることから、研究全体としては概ね順調に推移していると言える状況である。
平成29年度までの研究を継続し、さらに長期における臨床経過と抗HLA抗体との関連について解析を行っていくことで、新たな情報発信をしていけると考えている。また、抗体の補体結合性についての解析を完了し、その結果を解析することで、その成果についても学術集会や英文誌での発表を行っていけるものと思われる。
ほぼ全額を予定通り使用しており、少額の残額のみ次年度での使用を希望する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Pediatric Transplantation
巻: - ページ: -
10.1111/petr.13169
Transplantation Direct
10.1097/TXD.0000000000000713