研究課題
平成30年度においては、研究計画通り、小児肝移植患者の補体結合性を加味したドナー特異的抗HLA抗体と臨床経過の関連について解析を行った。その結果、ドナー特異的抗HLA抗体の存在と移植肝の線維化との有意な関連が認められた一方、補体結合性抗HLA抗体と肝線維化の関連は認められず、肝移植における補体結合性の解析の意義は現時点では認められないと考えられた。また、ドナー特異的抗HLA抗体量の指標となっている蛍光強度と補体結合性の間に有意な関連を認めており、補体結合性を追加解析をこれら蛍光強度によって代替し得る可能性が示唆された。これらの解析結果を国内の学術集会(日本外科学会定期学術集会、日本移植学会総会、日本肝移植研究会、など)や国外の学術集会(27th International Congress of The Transplantation Society)で報告した。また、肝移植において意義の明らかにされていない抗HLA-Cw抗体や抗HLA-DP抗体の意義についても解析を行い、その成果を国内の学術集会(日本消化器外科学会総会)等で報告した。またこれらの成果は、現在論文としてまとめており、欧文誌への投稿準備中である。抗HLA抗体のIgGサブクラスに関する解析に関しては、平成30年度内においても行うことができなかったが、重要なテーマであると考えており、平成31年度以降の課題であると考えている。
2: おおむね順調に進展している
IgGサブクラスの解析のための体制構築は達成できなかったが、抗体の補体結合性の解析は対象となる症例全例で行うことができ、補体結合性を加味した抗HLA抗体と臨床経過の関連の解析も行うことができた。このことから、研究全体としては概ね順調に推移していると言える状況である。
平成30年度までの研究を総括し、その成果を論文投稿する予定としている。また、さらに長期における臨床経過と抗HLA抗体との関連について解析を行っていくことで、新たな情報発信をしていけると考えている。今後は、抗HLA抗体のIgGサブクラスを解析し、臨床経過との関連を明らかにすることで、その成果についても学術集会や英文誌での発表を行っていけるものと思われる。
ほぼ全額を予定通り使用しており、少額の残額のみ次年度での使用を希望する。
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