乳癌は早期発見により手術での高い治癒率が期待でき、患者の負担が大きい抗がん剤治療をせずに済む可能性も高くなる。しかしながら現状では、病期が0、I期で診断される症例は半数程度で、簡便で感度の高い診断手法の開発が必要とされている。本研究ではパイロットスタディにて開発した血清中のIgG糖鎖を用いた乳癌診断予測モデルを検証することを目的とした。 まず、IgG糖鎖が安定していることは将来臨床応用を目指すにあたり必須であることから、血清中のIgG糖鎖の安定性を検討し、血清分離の状態や凍結融解に依らず本法での測定は安定であることを確認した。次に、検証用コホートでIgG糖鎖の診断予測のモデルの検証を行った。乳癌患者と非癌コントロールで年齢調整を行った、検証用のコホート(ケースコントロール)を作成してIgG糖鎖の測定を行った。乳癌患者や非癌コントロールと非浸潤癌症例の比較、他癌種との比較も行うため、IgG糖鎖の測定を行った。 現在よりよいモデルとするため、これらのデータを元に予測モデルを改良中である。IgG糖鎖を用いた予測モデルの研究は簡便で感度のよい診断方法開発の第一歩であり、また乳癌以外の疾患や非浸潤癌のプロファイルを見ることで予測モデルの可能性を検討できると考えている。
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