研究課題/領域番号 |
17K16510
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
村上 朱里 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (60722593)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CUL3 / 乳癌細胞 / 細胞膜形態 / 幹細胞 |
研究実績の概要 |
癌細胞において未分化な細胞の集団である癌幹細胞は、転移や再発、悪性化に関与する。 本研究では乳癌をモデルにユビキチンE3複合体足場タンパク質Cullin-3 (CUL3)の乳癌細胞における新規機能を解明し、新規なバイオマーカー、治療薬を探索、導出することを目的としている。 今までに我々はCUL3が乳癌細胞のstemnessを反映するsphere形成を制御することを示している。本年度において、CUL3が乳癌細胞の他の特性を制御しているかを検証した。その結果、CUL3を乳癌細胞において発現抑制すると、刺激依存的な細胞膜形態変化に異常を生じる事を見出した。この細胞膜形態変化は細胞の移動だけでなく、細胞の性状 (EMT等)や分化に関わる可能性が示唆されているので、stemnessとの関連も疑われる。CUL3はBTBP (ヒトでは183種類)と呼ばれるアダプター分子と相互作用して、機能する。そこで次に、乳癌細胞において、増殖と細胞膜動態を制御するBTBPをsiRNA libraryを用いて探索した。その結果、発現抑制によって、CUL3発現抑制と同様の細胞膜動態異常を示す複数のBTBPの同定に成功した。また、in vitroのアルファスクリーンシステムを用いて、当該BTBPとCUL3が結合する事も見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、乳癌細胞の特性 (細胞膜動態)を制御するBTBPを同定する事ができた。各BTBPの乳癌組織における発現解析も前倒しにして進めており、免疫組織染色が可能な抗体の選定まで成功している。各BTBPに対する基質タンパク質の同定については、アルファスクリーン及び、質量分析による候補分子同定の系の構築を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で同定した乳癌細胞の特性を規定するBTBPの外科的に摘出された乳癌組織における発現解析を実施する。ステージ、転移の有無、サブタイプ毎に免疫組織染色を実施し、どのような乳癌に対して、より有効なバイオマーカーになるかを検討する。また、アルファスクリーンと質量分析を用いて、BTBPの基質タンパク質の同定を試みる。CUL3-BTBP及び、BTBP-基質タンパク質間のタンパク質間相互作用を阻害する化合物をアルファスクリーンを用いて探索する。化合物ライブラリーは東京大学創薬機構から分与頂く予定である。同定された化合物の細胞レベルでの評価系として、各種乳癌細胞の増殖、分化に対する阻害活性試験を実施する。
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