研究課題
昨年度から引き続き乳癌細胞の特性 (stemness、細胞増殖、細胞形態、細胞移動、colony formation等)を規定するCUL3の基質認識受容体BTBPの探索、解析を進めた結果、KCTD10がHER2陽性乳癌細胞において、EGF刺激依存的な細胞膜形態変化及び、細胞増殖を制御する事を突き止めた。FRET、電子顕微鏡 (SEM)、位相差顕微鏡観察による解析を進めた結果、CUL3/KCTD10がsmall GTPaseの一つであるRhoBをユビキチン化して分解し、常に低い発現レベルに保つことで、EGF刺激依存的なRac1の活性化を正に制御している事を明らかにした。Rac1は各種癌においてoncogeneとして機能する事が知られているので、各種乳癌サブタイプでトランスクリプトーム解析を行った結果、HER2陽性乳癌特異的にRac1の発現が高い方がその予後が悪い事を見出した。更に外科的に切除されたヒトHER2陽性乳癌組織におけるKCTD10とRhoBの発現を組織染色法により解析した結果、症例によっては両者のタンパク質が高発現している事が分かった。現在、症例数を増やして、予後、ステージ等との相関解析を進めている。また現在までに、CUL3-BTBPの制御剤探索のための、CUL3/KCTD10の結合を検出するとしてアルファスクリーンの系の構築に成功している。今後はパイロットスクリーニングを実施した上で、大規模な結合阻害剤スクリーニングを実施する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Cancer Science
巻: 110 ページ: 650~661
10.1111/cas.13899