研究課題/領域番号 |
17K16514
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
荒川 衛 自治医科大学, 医学部, 助教 (30624647)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 補助人工心臓 / 在宅医療 / 重症心不全 / 感染症 |
研究実績の概要 |
平成29年度に補助人工心臓(VAD)在宅管理の現状の調査を行なった。特に症例数が多い施設からのヒアリングを行い在宅管理で困難な点を抽出した。VAD在宅管理においては患者背景、取り巻く環境、機器の問題と合併症管理が困難な点として挙げられた。また、高度医療機器が植込まれている状態であり、外来管理にも多くの労力を費やしているということが明らかになった。通常の外来よりも多くの時間がかかることは想像できるが、実際患者1名あたり30分間から60分間の時間を必要とし、多い施設では50人以上の患者を、2週間から1ヶ月に一度、診察している。これが施設での相当な負担になっているということが明らかになった。さらには合併症管理としてはドライブライン感染症の管理に多くの労力が費やされていることも判明した。また、在宅管理アプリはどの施設も使用しておらず、患者とのやりとりに、Eメールやテレビ電話を使用していた。また、患者数が少ない施設では専門的な相談がしにくいという点も問題として挙げられ、施設間、医師間のコンサルトも重要と考えられた。 上記を元に、在宅管理アプリの開発をすすめ、現在、研究の主体を創部管理に焦点を絞って進めている。在宅管理アプリの第1版として、株式会社エクスメディオのヒフミルという現存のアプリを修正し、「VAD DLI checker」を開発した。これまで外来で使用していたチェック項目を入力し、コンサルト機能が付いている。今後、臨床への試用を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に海外を含む、補助人工心臓(VAD)在宅管理の現状の調査を行なった。海外では大規模施設、日本でも心臓移植実施施設、また植込型補助人工心臓実施施設に行った。アンケート型の調査とヒアリングであり、全施設からの回答を得ることは困難であるが、各施設が困難に直面していることが明らかになったと考えている。具体的には、ドライブライン感染管理、遠方からの通院、コンプライアンスの悪い患者への対応などがあげられ、まさにアプリを用いた在宅管理が解決の一歩になりうると考えられる結果であった。 まずは、ドライブライン感染という、患者予後に直接影響する事象に注目してアプリの開発に着手し、VAD DLI Checkerが完成した。現在、臨床使用に向けて準備を行なっているが、予定通りの進行状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ドライブライン感染管理のアプリを自施設で臨床使用し、改善点と、その効果を検討する。さらには植込型補助人工心臓実施施設での使用の準備を整え、臨床使用を目指しその効果を検討する。 また、引き続き、植込型補助人工実施施設からのアンケート調査を継続的に実施し、さらには、近年、増加している植込型補助人工心臓管理施設での需要を模索する。 同時に、補助人工心臓在宅管理における他の問題点を解決できるアプリの開発を継続する。具体的には次の課題となっている、増え続ける患者数への対応に追われている医療従事者の負担軽減に寄与するアプリや、患者コンプライアンス向上に向けたアプリなどが候補として挙がっているため、それに着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度、旅費がかかったが、解析ソフトの購入が不要になったため残額が生じた。当初計画よりも進展があったため、平成30年度に、本研究における最も重要なモバイルアプリの発注が可能となる予定である。モバイルアプリの初期費用が必要になったため予算を使用する。
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