研究課題/領域番号 |
17K16514
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
荒川 衛 自治医科大学, 医学部, 助教 (30624647)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 補助人工心臓 / 在宅医療 / 遠隔医療 / 重症心不全 |
研究実績の概要 |
平成29年度に行なった、補助人工心臓実施施設の実態調査、近年の文献検索、学会による現状調査の結果を踏まえ、補助人工心臓管理においては、ドライブライン感染の管理が最も重要かつ、予後に直結するものと考え、平成30年度はドライブライン感染の管理に注目した研究を行なった。 平成29年度に着手した、株式会社エクスメディオのヒフミルという現存のアプリの追加機能としてし「VAD DLI checker」を完成させ、倫理員委員会の承認を得て、臨床第1例目の使用を行った。本症例は補助人工心臓治療のゴールである心臓移植へ到達した。平成30年度の一番の成果はVAD DLI checker使用の臨床第1例目のデータを採取することができたことと考えている。実臨床使用の経験については26th Annual Meeting of the International Society for Mechanical Circulatory Suppotで発表した。 ドライブライン感染の悪化の経過、介入のタイミングが重要である。本アプリでは、現時点ではコンサルトする機能のみである。在宅管理においては、そのドライブライン感染の悪化の兆候を捉え、介入のタイミングを示すことが重要であり、それに対して、対策を行うアプリを開発することを目的に、後ろ向きに、ドライブライン貫通部の写真データと、臨床経過を収集し、アラート機能を持たせることに着手した。本アプリはすでに使用することで、臨床データが継続的に収集できることになって、より精度の高いアラート機能の検証を行う基礎が整っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は補助人工心臓、在宅管理の中でドライブラインの感染管理に注目した研究を行なった。アプリ開発に関しては、D to D(Doctor to doctor), D to P(Doctor to patient)とself managementの3つのニーズがあるということがわかり、まずは臨床利用の倫理的なハードルの低いD to D アプリの開発に着手した。既存のヒポクラ(エクスメディオ社)というアプリに注目し、その追加機能としてVAD DLI checkerというコンサルトアプリが完成した。これは、アプリで写真を撮影し、コンサルトフォームを埋めることで、他の医師にコンサルトできるアプリである。使用例のターゲットは、補助人工心臓管理経験の少ない施設で、自施設の患者のコンサルトに有用と考えられる。まだ、臨床例は1例目であるが、大きな進歩と考えられた。さらには、本アプリを継続使用することで、継続的に臨床データが得られることになり、次年度へのデータ蓄積が可能な基礎が整ったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今回、臨床例を経験したことで、補助人工心臓ドライブラインの画像と臨床経過が得られ、まず、1例の詳細な病歴をまとめ本アプリの有用性を示し、それを元に、他施設へ展開し、症例数を増加させることを検討している。 さらに本アプリはフォーマットはそのままで、倫理面が解決されればD to Pアプリとしての使用も可能であるため、D to Pの利用と、さらには画像収集とその解析を行うことで、アラート機能を搭載したself managementが可能となり、補助人工心臓創部管理のニーズに応えられると考えられる。 同時に、ドライブライン感染管理以外のニーズに対するアプリの開発も検討しているが、現状は、上記に注目し成果を上げたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に、本研究における最も重要であるアプリの発注をおこなった。当初予定していたよりも初期費用が抑えられたため、次年度使用額が生じた。次年度以降も継続的な支出があるため、業務委託費として予算計上する。さらに、他施設での使用が必要であり打ち合わせたのため旅費が必要となるため旅費としての使用を行う。
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