これまで、本研究の目的である、補助人工心臓の慢性期の合併症予防につながる在宅管理の問題点の調査を行い、在宅管理アプリの開発を行なってきた。当初からドライブライン感染に着目したコンサルトアプリを開発し、その後、抗凝固療法の管理のコンサルト機能を追加した。 植込型補助人工心臓実施施設および管理施設からの調査で、医師間、他施設間のコンサルトの重要性が指摘され、Doctor to doctor (D to D)コンサルトアプリとしての展開を行なった。愛媛大学医学部附属病院と共同研究を開始し、まずは埼玉と愛媛での在宅管理のコンサルトを行い、その実績をもとに、植込型補助人工心臓実施施設と管理施設での連携強化の足がかりとなることが期待されている。本モバイルアプリはエクスメディオ社の「ヒポクラ」というアプリの「ヒフミル」に改良を加えた「VAD DLI checker」で、すでに臨床使用が可能となり、臨床使用1例目は心臓移植へ到達した。問題点としてはコンサルト体制の構築であり、それが今後の課題となる。 一方で、蓄積した創部データや抗凝固療法の管理データからアラート機能を出すために、深層学習を使用することを検討しており、症例データの蓄積を行なった。今後は米国スタンフォード大学との共同でドライブライン貫通部の画像認識を行い、アラートを出す機能であり、Self management機能として期待される。 本研究成果は、令和2年度、3年度に学会発表を行なった。
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