研究課題
正常大腸組織幹細胞でのmiR-221の発現を明らかにするために、C57B6マウスの正常腸管の陰窩より、胚細胞を濃縮した分画(Epcam+/Cd66a-/Cd44+/Kit+)と組織幹細胞を濃縮した分画(Epcam+/Cd66a-/Cd44+/Kit-)を分離し、米国Columbia大学と共同でRNAシークエンス解析を行った。結果は、組織幹細胞を濃縮した分画(Epcam+/Cd66a-/Cd44+/Kit-)でmiR-221の発現が優位に上昇しており(p=0.0037)、正常腸管においてもmiR-221が幹細胞性の制御に関与することが示唆された。また、大腸癌の癌幹細胞と非腫瘍原生癌細胞のRNAシークエンス解析を行い、癌幹細胞では本研究でmiRNA-221の標的遺伝子として同定したRNA結合タンパク質QKI5の発現が低い傾向にあることを明らかにした。本年度までの研究成果により、本研究では大腸癌組織中の大腸癌幹細胞のマイクロRNAプロファイルを世界に先駆け解明した。また、大腸癌幹細胞ではmiR-221の発現が特徴的に上昇しており、miR-221-QKI5経路が大腸癌幹細胞の制御において重要な役割を果たすことを初めて明らかにした。本研究により癌幹細胞の新たなエピジェネティック制御機構を明らかにすることは、大腸癌の制圧に向けた重要な知見となり、miR-221を標的とした核酸創薬など新規治療戦略に応用できる可能性をもつ。
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Cancer Research
巻: 79 ページ: 5151-5158
10.1158/0008-5472.CAN-18-3544.
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2019_10_25_01.html