研究課題/領域番号 |
17K16559
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
間野 洋平 九州大学, 医学研究院, 助教 (10792244)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / 癌微小環境 / 線維芽細胞 / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
肝癌に対して肝切除を行った症例について、9例から癌部と非癌部の線維芽細胞の抽出に成功した。それぞれ抽出した細胞については、分離培養を行った。 市販のエクソソーム分離キットを用いて、培養上清からエクソソームの分離を行った。エクソソームの表面マーカーの発現をウエスタンブロットにて確認し、エクソソームが抽出できていることを確認した。抽出したエクソソームを肝癌細胞株に添加し、細胞増殖、遊走能、浸潤能に関する影響を確認したところ、癌関連線維芽細胞(CAF)から抽出したエクソソームを加えた場合、遊走能と浸潤能が促進された。細胞増殖については変化は認めなかった。以上のことより、癌関連線維芽細胞のエクソソームは、癌細胞の遊走や浸潤を促進することが明らかとなった。 また、培養上清中のサイトカインについてサイトカインアレイを用いてCAFにおいて増加しているサイトカインを検索したところ、IL-6,IL-8、GROa等の増加が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトの切除標本から線維芽細胞の分離培養に成功し、in vitroにおける機能分析も行えている。今後は、遊走や浸潤の促進に作用している分泌タンパクやmiRNA等の検索を行い、新たな治療標的の探索を行える。
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今後の研究の推進方策 |
CAFのエクソソームの肝癌細胞株への機能解析はある程度すすんでおり、今後はエクソソームをmiRNAの網羅的解析や含有するタンパクの網羅的解析を行い、具体的な機能分子を探索する。 それにより得られた分子に関して、過剰発現モデルや発現抑制モデルを作成し、CAFにおけるその分子の意義や役割について明らかにして、治療標的として可能性について評価する。
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