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2017 年度 実施状況報告書

KPCLマウスによる可変型DDSの癌微小環境内分布不均一性の解明とその改変

研究課題

研究課題/領域番号 17K16563
研究機関九州大学

研究代表者

江口 大樹  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90726390)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード膵癌 / DDS / KPCL / 腫瘍微小環境
研究実績の概要

膵癌の特徴であるdesmoplasiaの形成主体である活性型膵星細胞は、浸潤癌の段階での癌細胞に対して腫瘍促進的に働くだけでなく、desmoplasiaを形成することによって間質圧の上昇と血管の圧排を引き起こし、薬剤送達効率を低下させて膵癌の治療抵抗性を高めることが明らかになっている。そこで本研究では、可変型DDSにルシフェラーゼを内包することで腫瘍微小環境を含めた腫瘍内分布をDDSサイズ毎に検討する。また、DDSの可変性を利用しDDS送達の不均一性を解消することで高い治療効果を実現し、癌細胞の耐性化を抑制する新たなDDS治療の開発をすすめる方針である。
KPCLマウスへサイズの異なる蛍光標識ナノ粒子を用いて、KPCLマウスの膵癌原発巣、転移巣におけるナノ粒子の到達効率を経時的・空間的に評価することを試みているが、充分な結果は得られていない。そこで、腫瘍微小環境の形成主体である膵星細胞が作る細胞外マトリックスの改変に着目し検討を行った。膵癌細胞と膵星細胞をコラーゲン・ゲル内で三次元培養したところ、細胞が浸潤したコラーゲン・ゲルは、浸潤がなかったものと比較してゲルは収縮し、厚みも増しており、さらにコラーゲン・ゲルの線維方向が、細胞の浸潤方向に沿って有意に変化していた。この結果、膵星細胞は基質のリモデリングを行っていると考えられ、その基質リモデリングに関与する因子として、Endo180を同定した。上記内容を論文として報告している。基質リモデリングを制御する薬剤をナノカプセルに内包できれば、DDS送達の不均一性を解消できる可能性があると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

薬剤送達を改善うる可能性のある細胞外マトリックスの基質リモデリングに関する研究成果は一定のものが得られている。しかし、KPCLマウスへサイズの異なる蛍光標識ナノ粒子を用いて、KPCLマウスの膵癌原発巣、転移巣におけるナノ粒子の到達効率を経時的・空間的に評価することを試みているが、充分な結果は得られていない。

今後の研究の推進方策

ルシフェラーゼ内包可変型DDSを使用し、腫瘍内の間質や癌組織での局在などを検討し、DDSのサイズごとの分布不均一性を明らかにする。DDS のサイズ毎の分布不均一性を検討し、複数のサイズを組み合わせることにより均一な分布を得るように検討する。膵癌の特徴でもある間質を各種薬剤や既存の分子を標的として改変することで薬剤送達効率の改善を図る。最適化したDDSでの治療効果・安全性の評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

研究資金はKPCマウスの作成に使用したがナノ粒子の到達効率の評価の研究が遅れているため。
次年度は研究用試薬などの消耗品に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Pancreatic stellate cells reorganize matrix components and lead pancreatic cancer invasion via the function of Endo1802018

    • 著者名/発表者名
      Koikawa K, Ohuchida K, Takesue S, Ando Y, Kibe S, Nakayama H, Endo S, Abe T, Okumura T, Horioka K, Sada M, Iwamoto C, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Ohuchida R, Manabe T, Ohtsuka T, Nagai E, Mizumoto K, Hashizume M, Nakamura M.
    • 雑誌名

      Cancer Letters

      巻: 412 ページ: 143~154

    • DOI

      10.1016/j.canlet.2017.10.010

    • 査読あり
  • [学会発表] 膵星細胞が誘導する新たな膵癌局所微小浸潤機序の解明2017

    • 著者名/発表者名
      肥川和寛、大内田研宙、森山大樹、仲田興平、宮坂義浩、真鍋達也、大塚隆生、永井英司、水元一博、中村雅史
    • 学会等名
      第25回日本消化器関連学会週間 第15回日本消化器外科学会大会
  • [学会発表] Pancreatic organoids elucidate the new mechanisms of pancreatic cancer local invasion2017

    • 著者名/発表者名
      Koikawa K, Ohuchida K, Ando Y, Kibe S, Nakayama H, Takesue S, Yan Z, Abe T, Okumura T, Iwamoto C, Moriyama T, Nakata K, Miyasaka Y, Okabe Y, Ohtsuka T, Mizumoto K, Nakamura M
    • 学会等名
      The 48th Annual Meeting of The American Pancreatic Association
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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