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2017 年度 実施状況報告書

膵癌早期発見を目指した十二指腸液中バイオマーカーの解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K16565
研究機関九州大学

研究代表者

森 泰寿  九州大学, 大学病院, 助教 (50632642)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード膵癌 / 診断マーカー / S100タンパクファミリー
研究実績の概要

今年度は、十二指腸液中S100タンパクfamily測定による膵癌の早期発見の可能性を検討することとした。先行研究で採取されていた検体を利用し、ELISA kitを用いて十二指腸液中のS100A2、S100A4、S100A6、S100A7、S100A11濃度を測定した。対象症例は膵癌群10例、膵IPMN群10例、慢性膵炎群7例、コントロール群4例(生体腎移植ドナーから採取したもの)とした。S100A2は膵癌群、膵IPMN群、慢性膵炎群、コントロール群ともにELISA kitの検出下限以下であった。十二指腸液は採取時にタンパク質分解酵素阻害薬を添加しているものの、S100A2はほぼ分解されている可能性が高いと考えられた。S100A4は有意差は認めなかったものの、コントロール群のみ濃度が高い傾向にあり、膵疾患スクリーニングという観点では有用なマーカーとなる可能性があると考えられた。S100A6はそれぞれの疾患群およびコントロール群間で有意差は認めなかった。S100A7は慢性膵炎群のみ値が小さい傾向にあるものの、IPMN群、膵癌群、腎移植ドナー群間では差は認められなかった。S100A11はそれぞれの疾患群およびコントロール群間で有意差は認めなかった。今回の検討では十二指腸液中S100タンパクfamily測定の膵癌早期発見における有用性を明らかにすることはできなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特に問題なく当初予定していた通り、ELISA kitを用いて十二指腸液中のS100タンパクfamilyを測定することができた。しかし、膵癌早期発見マーカーとしては有用な結果ではなかった。

今後の研究の推進方策

膵癌早期発見のマーカーとしてはS100タンパクfamilyの有用性は明らかでなかった。その理由として十二指腸液中のタンパク質は不安定であり、採取時にタンパク質分解酵素阻害薬を添加しているものの、分解を完全には阻害できず、有用なマーカーとして機能しなかった可能性が考えられた。膵液中のエクソソーム内のmicroRNAが膵癌診断のバイオマーカーとして有用との報告があるが、エクソソームは安定性が高く、十二指腸液中でも安定して存在している可能性が高いと考えられる。そこで、今後は十二指腸液中のエクソソームの抽出を試みる。十二指腸内エクソソームが抽出できた場合には膵癌早期発見マーカーとして有用なmicroRNAを検索していく。

次年度使用額が生じた理由

研究はおおむね順調に進展しており、計画的に使用している。今後は、研究に必要な機材や抗体の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 膵液中exosomeを利用した膵癌診断のためのバイオマーカーの検索2018

    • 著者名/発表者名
      中村 聡
    • 学会等名
      第118回日本外科学会定期学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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