腹膜播種を高度に引き起こすスキルス胃癌は、極めて悪性度が高く、治療抵抗性であり、依然として新たな治療法の開発が望まれる。本研究では、スキルス胃癌に対する新規治療戦略として、ファルネシル転換酵素阻害薬(FTI)による抗腫瘍効果およびそのメカニズムを検証した。FTIは胃癌細胞の増殖能や転移能を抑制したが、特質すべきはHIF1-α高発現胃癌細胞(HIF1-α高発現=高悪性度)においてより強い抗腫瘍効果を示した点であった。動物実験でも同様の効果を検証した。そのメカニズムとして、FTIがHIF1-α発現を阻害する他、mTOR経路(癌増殖に関わるシグナル伝達経路の一種)の抑制や活性酸素の抑制が確認された。
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