現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに我々は、切除不能膵臓癌に対する標準治療である塩酸ゲムシタビン(GEM)をヒト膵臓癌細胞株(Panc1,MIA Paca2)に投与することで、複数のLysosome酵素遺伝子(GAA,GLA,ASAH1,IDS,IDUA等)が発現増強することを確認した。蛍光顕微鏡や電子顕微鏡においても、塩酸ゲムシタビン投与後48時間にLysosomeの発現が増強することを確認した。また、Western Blot法においても、LC3などのオートファジー関連タンパクや、GAAやGLAなどのLysosome酵素蛋白が発現増強することを確認し、GAAやGLAといったLysosome酵素の活性が有意に上昇していることを確認してきた。
次に、Lysosome酵素遺伝子の中で、糖代謝に関わると考えられた酸性αグルコシダーゼ(GAA)、酸性βグルコシダーゼ(GBA)、αガラクトシダーゼ(GLA)や、スフィンゴ脂質代謝に関わる酸性セラミダーゼ(ASAH1)に着目し、siRNA法にてこれらの遺伝子発現を抑制させることで塩酸ゲムシタビンによる細胞増殖能が抑制されることを明らかにし、また、アポトーシス関連タンパク(Cleaved caspase3,8,cleaved PARP)が発現増強することを確認した。
また、これらの遺伝子発現抑制のため、shRNAを搭載したアデノウイルスベクターを作製し、現在in vivoにてその効果を検証している。同時に、これらの遺伝子抑制が抗腫瘍効果を誘導する機序についても検討している。
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