研究課題
本研究は切除不能膵臓癌を対象とし、抗癌剤耐性におけるライソゾーム酵素の働きに着目し、その機構を解明する研究である。当該研究はヒト膵臓癌培養細胞および動物実験モデルにおいて検証された。まず膵癌細胞に塩酸ゲムシタビンを投与しマイクロアレイ解析を行い、抗癌剤投与によって要求が上昇する酵素群の特定を行った。中でも酸性αグルコシダーゼや酸性セラミダーゼなど糖や脂質代謝に関与する酵素の上昇認めた。そこで、これらの酵素を標的としてRNA干渉を行い、細胞内におけるメカニズムを解明した。まず酸性αグルコシダーゼ阻害ではライソゾーム活性が低下し、異常なミトコンドリアの蓄積が生じた。異常ミトコンドリアが蓄積した細胞内ではアポトーシスシグナルが活性化し、細胞死に誘導された。一方、酸性セラミダーゼ阻害では細胞内にセラミドやROSが蓄積し、アポトーシス誘導されることが明らかになった。またウイルスベクターを用いた遺伝子治療を異種マウスモデルで検証し、腫瘍増殖抑制効果を確認した。当該研究成果は国内外の主要な学会で報告され、今後英文誌に報告予定である。
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