研究課題/領域番号 |
17K16585
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
山本 誠士 大阪医科大学, 医学部, 助教 (50700324)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 硼素中性子捕捉療法 / BNCT / 大腸癌 / 脂肪幹細胞 |
研究実績の概要 |
硼素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)は、がん細胞に選択的に取り込まれる硼素(10B)化合物を投与し熱中性子線を照射することで、10Bを取り込んだがん細胞内部で硼素と熱中性子が核反応し、がん細胞を選択的に破壊する治療法である。本研究は、骨盤内臓全摘術が適応となることが多い、直腸癌術後再発に対する研究である。 平成29年度はBPAを用いて、数種類の大腸癌細胞株による、経時的な硼素取り込み濃度をICP発光分光分析装置(ICP-AES)にて測定した。大腸癌皮下移植モデルを作製し、生着能を確認した。BPAを用いて、Control群、治療群に分けて腹腔内投与を行い、各臓器を分画し、硼素濃度をICP-AESにて測定し、がん組織/正常組織の硼素濃度比が約2.5であることを確認した。 平成30年度は研究計画の記載通り、脂肪幹細胞(AdSC)の有用性の検討を行っている。予備実験では大腸癌細胞株とAdSCの共培養にて遊走assayと増殖assayを行い制癌作用とホーミング効果を認めたため、本実験の準備中である。 また大腸癌細胞株による骨盤内再発モデルを確立したので、AdSCの有用性が実証され次第、治療実験へと移行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
8種類の大腸癌細胞株を用いてin vitroにBPAの経時的な硼素取り込み濃度をICP発光分光分析装置(ICP-AES)にて測定した。DLD-1を用いて大腸癌皮下移植モデルを作製し、生着能を確認した。BPAを用いて、Control群、治療群に分けて腹腔内投与を行い、各臓器を分画し、硼素濃度をICP-AESにて測定し、がん組織/正常組織の硼素濃度比が約2.5であることを確認した。 また、骨盤内再発モデルは安価で確実な方法での作成を確立させ、現在論文投稿中である。 脂肪幹細胞(AdSC)については、AdSC自体が、がんの増悪となり得るとの報告もあるため、DLD-1との共培養による遊走assay、増殖assayの予備実験を行い、ホーミング効果と制癌作用を認めたため、本実験を計画準備中である。 AdSCの有用性が実証され次第、大腸癌皮下移植モデルならびに骨盤内再発モデルを用いた治療実験へと移行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪幹細胞(AdSCの)有用性が実証され次第、大腸癌皮下移植モデルならびに骨盤内再発モデルを用いた治療実験へと移行する予定である。 同時に、計画書の記載通り硼素化合物のAdScへの封入実験を準備予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が遅れていることと、また既存の細胞株、実験器具おより薬剤を使用可能であったため、次年度使用額が生じた。次年度は、前述のとおり、脂肪幹細胞(AdSC)の有用性が実証され次第、大腸癌皮下移植モデルならびに骨盤内再発モデルを用いた治療実験へと移行するため、それらの実験費用に充てる予定である。
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