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2020 年度 実績報告書

エピジェネティック修飾から見た慢性右心不全の重症度と可逆性の新たな指標

研究課題

研究課題/領域番号 17K16588
研究機関新潟大学

研究代表者

杉本 愛  新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00723941)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードエピジェネティック修飾 / 右室心筋 / 先天性心疾患 / スプライスファクター / SF3B1 / 免疫組織染色
研究実績の概要

近年、ヒストンのエピジェネティック修飾が、核クロマチンの構造変化に関与し、これが遺伝子発現の制御機構として働くことが注目を集めている。慢性心不全における病理学的ストレスに対する反応として生じる心筋リモデリングや心機能異常では、このヒストンのエピジェネティック修飾が重要な役割を果たしており、splicing factor 3B unit 1 (SF3B1)を初めとするいくつかのタンパク質が心筋の病理学的な変化と関連することがマウスを用いた実験、あるいは少数のヒト左室心筋で示されている。
本研究では、先天性心疾患を有し、予定心内修復術に際して右室心筋切除を行った症例において、切除した右室心筋を抗SF3B1抗体を用いて免疫組織染色を行い、その発現の程度を評価し、術前の心機能の指標を含む臨床的所見との比較検討を行った。SF3B1の発現の程度は、その強度と頻度を加味したスコア(H-score)を0-300の連続した値で算出した。
対象となった症例は、ファロー四徴症を初めとする先天性心疾患で、乳児期から幼児期に初回心内修復術を行った約30例と、成人期に再手術介入を要した約10例、および青年期までに再手術介入を行った約10例であった。病態が大幅に異なるため、それぞれの群ごとに検討を行った。後2群は、症例数が10例程度と少なく、傾向や統計学的な検討は現時点では困難であった。初回心内修復術を行った約30例においては、術前から左室駆出率の低下した症例を認めない中で、H-scoreの発現の程度と、術前の左室拡張末期圧上昇、右室拡張末期容積の増大、血清BNP上昇などといった、術前の心負荷の強さあるいは心不全の程度と有意に関連した。H-scoreの発現が亢進していた症例・そうでない症例、いずれも短期的な術後左室駆出率は保たれていた。将来的な心機能との関連については経年的フォローが必要であると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Adverse impact of univentricular pacing for the patient with functional single ventricle: successful conversion to cardiac resynchronization therapy2020

    • 著者名/発表者名
      Ai Sugimoto, Kiyohiro Takigiku, Shuichi Shiraishi, Masashi Takahashi, Masanori Tsuchida
    • 雑誌名

      Surgical Case Reports

      巻: 13 ページ: 101

    • DOI

      10.1186/s40792-020-00863-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 小児胸骨正中切開後縦隔炎に対する治療戦略:洗浄ドレナージ+一期的胸骨閉鎖2020

    • 著者名/発表者名
      杉本愛、白石修一、高橋昌、土田正則
    • 学会等名
      第50回日本心臓血管外科学会学術総会
  • [学会発表] Mid-term outcome after coronary artery bypass grafting for children2020

    • 著者名/発表者名
      杉本愛、白石修一、高橋昌、土田正則
    • 学会等名
      第73回日本胸部外科学会定期学術集会
  • [学会発表] 二心室治療を目指した経過中、左上大静脈の経路変更を要した両側上大静脈を有する2症例2020

    • 著者名/発表者名
      杉本愛、白石修一、高橋昌、土田正則
    • 学会等名
      第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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